XLogo

Research

Articles

BitcoinとEthereum 仕組みと運用方法を構造的に解説

Bitcoin

記事のまとめ

  1. 仮想通貨とはブロックチェーンを用いた非中央集権的な資産である
  2. 仮想通貨は堅牢性と非中央集権性から価値は上がり続けている
  3. 本質的な運用は他の資産と変わらない

ビットコインとイーサリアムの概要

ビットコインやイーサリアムは、仮想通貨の一種であり、ビットコインは2009年、イーサリアムは 2015年に発表されました。仮想通貨の基本的な仕組みはBitcoinの論文"Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System"に基づいて設計されており、分散台帳やブロックチェーンといった仕組みが使われています。
本記事では仮想通貨の特徴や構造について解説した後、特徴に基づいた正しい運用の考え方について解説します。

ブロックチェーンとは

分散台帳の仕組み
ブロックチェーンとは分散台帳システムの一種で、システムを1つのコンピュータでなく、複数の コンピュータで管理する仕組みを指します。

日本円などの一般的な通貨は、銀行といった第三者機関が個人間の取引内容を記録し、信頼性を担保しています。それに対し、分散台帳システムはネットワークに属する全てのユーザが全ての取引内容を記録していきます。

これにより、従来のように中央でシステムを管理する物が必要なくなり、真に民主的な取引が出来るようになります。このような分散台帳システムで安全性を担保するために開発されたのがブロックチェーンです。

BlockChainの内部
ブロックチェーンのブロックは基本的に前ブロックのハッシュ、取引内容、Nonce値の3つから成ります。

前ブロックのハッシュには前のブロックのNonce値から計算されたハッシュ値が格納されており、ブロックのチェーンを構成しています。
取引内容には送金者のデジタル署名が付与されており、取引内容によって同じ送信者でも署名の値は異なります。
Nonce値とはハッシュ値を計算するための引数で、ブロックのヘッダー情報と共に引き渡され、SHA-256方式で暗号化され、ハッシュ値が求められます。
Hash=SHA256(header,Nonce)Hash=SHA256(header, Nonce)
ブロックのヘッダー情報にはそのブロック全体の情報が格納されています。

PoWと堅牢性

Pow(Proof of Work)とは、新しいブロックを作成する際のアルゴリズムを指します。ネットワーク内で新しいブロックを作成する作業のことを"マイニング"、作成する人のことを"マイナー"と呼びます。 まだブロックチェーンに記録されていない未確定の取引は"メモリプール"に保存されています。メモリプールはネットワーク上の全てのユーザのコンピュータ上で更新され続けます。マイナーはメモリプールから取引を選択し、ブロックにまとめます。 その後、Nonce値を設定します。このとき、Nonce値とヘッダ情報から計算されるハッシュ値が特定の条件を満たすようにNonce値を設定しなければなりません。通常、Nonce値は条件に合うように総当たり方式で調べられます。

例えば、256bitのハッシュ値の条件が"最初の20bitが0である"としましょう。すると、ハッシュ値の確率は12200.0000009537\frac 1 {2^{20}} \fallingdotseq 0.0000009537となり、非常に低い確率になります。このように、マイニングは非常に多くのコンピュータリソースを使用することで知られています。

新たなブロックを作成したマイナーは報酬として取引作成者からの手数料と、マイニング報酬を得ることが出来ます。Bitcoinのマイニング報酬は4年ごとに半減します。近年の報酬は以下の通りです。
年日マイニング報酬
発表時50BTC
2012年11月25BTC
2016年7月12.5BTC
2020年5月6.25BTC
2024年4月3.125BTC


暗号通貨は暗号を使ったデジタル署名とPoWにより、非常に高い堅牢性を持っています。

仮想通貨の特徴

これまでに解説してきた構造から、仮想通貨について、以下のような特徴が示されます。

中央集権的でない

仮想通貨は管理する存在がいない資産です。一般的な資産は発行団体の情勢によって左右されます。例えば、日本円やドルといった通貨は、 国の経済状況や政策によって変動します。土地や物といった資産も同様に国やメーカーの情勢にある程度左右されます。対して、仮想通貨は発行団体が存在しない資産であるため、 発行団体に左右されません。そのため、非中央集権的な資産と呼ばれます。

透明性、匿名性、機密性が高い

仮想通貨における全ての取引はブロックチェーンに記録されているため、ネットワーク上の誰でも確認できる透明性のある取引が可能です。これによりシステム全体がオープンになり、 参加者は誰とでも信頼関係を築くことが出来ます。また、企業や団体も財務監査を非常に効率的に行うことが出来ます。

公開鍵やアドレスを用いて取引を行うので、取引を行うユーザは個人情報を開示することなく資産を取引することが可能です。これは暗号資産の非中央集権的な仕組みと相まって暗号資産が自由で民主的な通貨であることを示しています。

個人が通貨を発行できる

イーサリアムでは個人がトークンと呼ばれる暗号資産を作成し、発行することが出来ます。トークンはイーサリアム内の他のトークンに交換することが可能です。トークンの例として、企業が発行するポイントシステムのようなトークンやゲーム内通貨として使用するトークンなどが挙げられます。これらの非中央集権的な資産の活用例は今後増えることが予想されます。

適切な運用方法

暗号資産のデメリットは価格変動が大きいことと、規制による影響が存在することです。そのため、ネームバリューのある暗号資産を長期的に保有するということが現実的な選択肢といえるでしょう。 ビットコインやイーサリアムは話題になり始めた時期から現在まで長期的には価値は上昇しています。
暗号資産は種類によって特性が大きく異なり、一般のポートフォリオとも異なる値動きをすることがあるので、 もし保有を考えられる際は、投資戦略に応じて分散した保有したほうが良いでしょう。
例えば、ビットコインは上限枚数が決まっており、イーサリアムはプラットホームとしてのトークンであるため流動性が高いです。 ビットコインは金に近く、イーサリアムは通貨に近いと考えられています。このような特性に応じて、分散して選択を行っていくことをお勧めします。

今後の暗号資産について

2024年11月現在では、ブロックチェーン及び暗号資産の堅牢性は破られておらず、長期的に価値は上昇しています。 今後の暗号資産の動向については、堅牢性の破綻、または政府からの規制がない限り、資産としての価値は基本的に0になることはないと予想されます。ただし、非常に値動きが大きく、短期的には損する可能性がある資産であることをご留意ください。

このように、他の資産と同様、暗号資産を保有する場合は、社会情報についてある程度知見を持っておく必要があります。NFTなどの詐欺にはご注意ください。ご自身で考えて、ご自身でご選択ください。



ご愛読ありがとうございます。